今から二千年以上前のお話、中国に楚という国がありました。この国の荘王という王様は王様であるにもかかわらず国の仕事をしようとせず毎日遊び惚け諫言(王に意見すること)をすると処刑する、と宣言しました。みかねたある大臣が王様になぞかけをします。「ある鳥が3年の間、全く飛ばず、全く鳴きませんでした。この鳥の名は何と言うのでしょうか?」。王は「その鳥は一旦飛び立てば天まで届き、一旦鳴けば人々を驚かせるだろう」と答えました。また別の大臣が我慢できずに処刑を覚悟の上で王に意見を言います。すると王はそれまでの行動を改め、悪事に手を染めていた家臣たちを処刑し、国の政務に邁進します。そしてあの二人の大臣を重用し、国を大いに発展させました。一見遊んでいたように見えた荘王ですがその実は優秀な人材を見定めていたのです。そして王の意図に応えた二人の大臣や他の優秀な人材たちに支えられ「覇者」の一人と後世に称えられる名君となったのです。
教室長 瓜生翔太
「鳴かず飛ばず」は現在では期待をしていたのにこたえられない場合に使われる言葉ですが、かつてはじっと機会を待つという意味でつかわれていました。荘王は三年間鳴かず飛ばずでしたが一度飛び立つと中国の歴史に名を刻む名君となりました。今生徒諸君は三か月近く家庭で「鳴かず飛ばず」の状態にあると思います。学校が再開しいざ飛び立つ、となったときの準備はできていますか?今までの自分の生活をもう一度見直して荘王のようにしっかり準備をしてから飛び立ちましょう。