大阪府の橋下徹知事が「児童・生徒の公立小中学校への携帯電話持ち込みを禁止」「府立高校では持ち込みは認めるが使用は禁止(大阪市、堺市など政令指定都市を除く)」という方針を打ち出しました。
小学生や中学生の保護者のみなさまと面談をさせていただいておりますと、必ずといっていいほど携帯電話のことが話題にあがりますので、僕自身も小中学生に携帯電話を持たせることについてよく考えさせられる機会があります。
ここで、いくつかの小中学生に携帯電話を持たせることに関する弊害について何回かにわけてコメントしたいと思います。
パート1 会話の時間の減少
日曜日などに最近よく目にする光景があります。
4人家族が、レストランで食事をしています。
お父さん、お母さん、中学生くらいのお姉ちゃんと小学生の弟です。
テーブルで食事を待っている間も、食事をしている最中も、その後も、中学生くらいのお姉ちゃんは携帯電話に夢中で、小学生くらいの弟はゲームに夢中です。お父さんとお母さんが会話をしているだけで、子どもたちはその会話に参加していません。
一昔前は、レストランなどで家族を見かけると、決まって学校でのできごとや友だちの話をしている光景を目にしていたように思います。しかし、最近ではそのような光景をあまり目にしなくなりました。
子どもたちはお父さんやお母さんにいつ、学校での出来事、最近がんばっていること、悩みなどを話しているのでしょうか?
また、お父さんやお母さんは一番身近に接することができる“大人”です。子どもの成長に関する論文をいくつか読んでいると、そこには大抵「親との関係が希薄になることによって、大人とどう接していいか子どもたちは学ぶことができない、そうすると、子どもたちは自分たちの世界に閉じこもってしまい、やがて中学生くらいになると、様々な大人に対して反抗するようになる。」というような内容が書かれています。
確かに、反抗期は避けて通ることはできない成長過程であり、親としても試練のときではないでしょうか。反抗することによって子どもは、自己を確立し、大人になっていきます。反抗期を乗り切る一番の策は、コミュニケーションです。確かに根気がいる作業ですが、間違えていることは間違えているとしっかり教えてあげることが大切だそうです。その際には、決して上から押さえつけたり、大人の価値観を押し付けたりしないこととされています。
また、コミュニケーションに関連して、電話での話し方を知らない大学生が増えてきています。新しい講師を採用する際に、求人誌を見て大学生が電話をかけてきます。
一言目に、
「あの、アルバイトしたいんですけど、、、」
「面接受けたいんっすけど、、、」
この程度ならまだまともな部類です。ひどい場合は、
「あの、、、」
「面接、、、」といって、黙ってしまいます。
いくら立派な大学に通っていたとしても、これでは採用する気にはなれませんよね。
僕が子どもの頃は携帯電話なんて普及していませんでしたから、友だちの家に電話をする時は、お母さんなどの家族の人に取り次いでもらわないといけません。今でも、あの緊張は忘れません。
「○○くんと同じクラスの田中ですが、○○くんはいらっしゃいますか?」
携帯だと、「あ、もしもしオレ!」みたいな会話で十分ですから、自分の名前を名乗る機会も少ないですし、電話を通じて、友だちのお父さんやお母さんといった大人の方と接する機会も減少しています。こうして、電話での話し方を知らないまま、成長していくのでしょうか?